塩分の感受性が高い日本人は、軽度の血圧上昇でも血管壁に慢性的な負荷がかかりやすい体質にあります。本記事では、高値血圧(正常高値)への早期介入の重要性を解説するとともに、収縮期血圧を正常域へ導く「アカシア樹皮由来プロアントシアニジン」のヒト臨床試験結果と、2つの体内メカニズム研究の成果について紹介します。
高血圧の基礎知識と世界・日本の現状

世界における高血圧人口の推移と「サイレントキラー」の脅威
世界保健機関(WHO)の報告によると[1]、世界で30〜79歳の成人の約14億人が高血圧を抱えており、過去30年間で有病者数は倍増しています。高血圧は、体に悪い変化が起きているのに自分ではまったく気づかないまま進むため、高血圧は「サイレントキラー(静かなる殺人者)」と呼ばれ、世界における早死の最大の原因となっています 。

症状がないため放置されがちですが、その間も血管壁は傷つき、動脈硬化が進んでいます。近年の予防医学では、重大な病気が発症した後に治療するのではなく、まだ症状のない正常高値血圧(上の血圧120〜129 mmHgかつ下の血圧80〜84 mmHg)や高値血圧(上の血圧130〜139 mmHgかつ/または下の血圧85〜89 mmHg)の状態のときから血圧をコントロールする「早期介入」が世界的な潮流となっています。

日本における高血圧の現状と社会的・環境的リスク因子
WHOのデータ(2025年版)によると、日本の30〜79歳の高血圧有病率は41%に達し、推計約3,240万人におよびます[1]。このうち約2,080万人は血圧が適切にコントロールされていない危険な状態にあると言われています。

日本人の高血圧における最大のリスク因子は「塩分の摂り過ぎ」です。過剰な塩分は水分を血液の中に溜め込んで、循環する血液量を増やして血圧を上昇させます。高血圧を放置すると、脳卒中(脳梗塞や脳出血)、心疾患(心筋梗塞や心不全)、慢性腎臓病など、命に関わる重大なダメージを体が受けてしまいます。そのため、日本高血圧学会のガイドライン等[4]でも、早期段階からの積極的な生活習慣の改善が強く推奨されています。

血圧調節の生理学的メカニズム:収縮期・拡張期血圧の定義

血圧とは、心臓から送り出された血液が動脈の壁を押す力のことです 。心臓がドクっと収縮して血液を送り出すときの最高血圧を「収縮期血圧(上の血圧)」、心臓が膨らんで血液を貯めているときの最低血圧を「拡張期血圧(下の血圧)」と呼びます。
血圧の高さは、「心臓が押し出す血液の量」と「血管の太さや壁の硬さ」によって決定されます。高血圧状態が続くと、強い圧力を受け続けた血管の内皮細胞がダメージを受け、血管壁が厚く硬くなる「動脈硬化」を引き起こします。動脈硬化によって血管のしなやかさ(弾力性)が失われると、末梢の血管抵抗がさらに高まり、血圧がますます上昇するという悪循環に陥ってしまいます 。
ヒト臨床試験エビデンス:収縮期血圧(上の血圧)に対する有意な降下作用
臨床試験の試験デザイン(RCT:ランダム化比較試験)
天然由来成分である「アカシア樹皮由来プロアントシアニジン」が持つ血圧調節能を客観的に検証するため、臨床研究で最も信頼性が高い「ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験」の形式をとってヒト臨床試験が実施されました[5]。
試験結果:収縮期血圧(上の血圧)の経時的変化と統計的有意差


12週間の介入試験において、血圧の動態データを一定のチェックポイント(摂取開始前、4週目、8週目、12週目)ごとに経時的に測定・評価したところ、アカシア摂取群において有意な低下が確認されました。
具体的には、主要評価項目である「収縮期血圧(上の血圧)」において、アカシア摂取群は摂取開始から4週目の段階で、プラセボ群と比較して統計学的に有意差(P < 0.01)に血圧が低下しました。この有意な降圧効果は一時的なものではなく、8週目(P < 0.01)および12週目(P < 0.001)においても有意な低下を示しました。
一方、プラセボ群では試験期間を通じて収縮期血圧に明確な変化は見られず、ほぼ横ばいでした。以上のことから、血圧の低下は、アカシア樹皮由来プロアントシアニジンが持つ生理活性機能によるものであることが、統計学的にも示されたと言えます 。
収縮期血圧が130 mmHg未満かつ拡張期血圧が89 mmHg以下の血圧基準達成率と長期的な血管保護

さらに、本試験では単なる平均値の低下だけでなく、「臨床的に良好な血圧域(収縮期血圧が130 mmHg未満かつ拡張期血圧が89 mmHg以下)まで改善した被験者の割合(基準達成率)」についても解析が行われました。12週間にわたるアカシアの継続摂取の結果、収縮期血圧(上の血圧)が130 mmHg未満、かつ拡張期血圧(下の血圧)が89 mmHg以下という、循環器リスクの低い「良好な血圧基準」を満たすレベルにまで血圧が改善・到達した人の割合が、プラセボ摂取群と比較して明らかに高い比率を示しました。
高血圧症への移行を未然に防ぐ予防医学の観点において、この「良好な基準への改善率の高さ」は極めて重要な意味を持ちます。なぜなら、収縮期血圧が日常的に130 mmHgを超えている状態(高値血圧)が長期間持続すると、血管内皮は慢性的な機械的ストレスを受け続け、弾性を失っていくためです。アカシアの継続摂取によって血圧が130 mmHg未満の良好な領域へと制御されることは、血管本来の「しなやかさ」を保護し、将来的な動脈硬化やそれに伴う致死的な心血管の障害につながらないための手段となりえると考えられます。
血管を広げ、守り、整える。アカシアポリフェノールが血圧を調節する2つのメカニズム

強力な抗酸化作用による一酸化窒素(NO)の安定化と血管拡張

アカシア樹皮由来プロアントシアニジンが血圧を低下させる主要なシグナル伝達経路の一つとして、血管内皮由来の血管拡張因子である「一酸化窒素(NO: Nitric Oxide)」の保護・安定化作用が挙げられます[6]。
生理学的条件下において、NOは血管の内側にある血管内皮細胞から生まれます。このNOが、血管の壁を作っている血管平滑筋細胞へと届くと、中にあるグアニル酸シクラーゼがスイッチオンになります。すると、縮んでいた血管平滑筋が緩んで血管が広がり、血液の流れを邪魔する抵抗(末梢血管抵抗)が減るため、血圧を正常に保つために欠かせないシグナル分子となっています。しかし、生体内で過剰に発生した活性酸素(ROS: Reactive Oxygen Species)は、NOと極めて迅速に反応(過酸化)し、その血管拡張能を著しく減退させてしまいます。
アカシアを摂取すると、生体内の主要な抗酸化酵素である「SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)活性」が血液中で有意に上昇する。このAPCの強力な抗酸化能およびSOD活性の亢進により、ROSによるNOの分解・酸化ストレスが効果的に抑制(スカベンジ)されますか。結果として、血液中において活性を保った状態のNOが安定的に上昇・維持され、平滑筋の過度な緊張が緩和されることで、持続的な血圧上昇が効率的に抑制されると考えられます。
アンジオテンシン変換酵素(ACE)の活性阻害による血管収縮の抑制

もう一つの特筆すべきメカニズムは、生体内の血圧上昇システムである「レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)」に対する直接的な阻害アプローチです。アカシアは、このシステムにおいて血管収縮の鍵を握る「アンジオテンシン変換酵素(ACE: Angiotensin-Converting Enzyme)」の活性を特異的に阻害します[6]。
生体内において、ACEは不活性型の「アンジオテンシンI」を、極めて強力な血管収縮作用を持つ生理活性ペプチド「アンジオテンシンII」へと変換する働きを担っています。「アンジオテンシンII」が血管平滑筋の受容体に結合すると、血管が急激に収縮し、末梢血管抵抗が上昇して血圧が跳ね上がる原因となります。
in vitro(試験管内)の酵素活性試験において、アカシア樹皮由来プロアントシアニジン画分は極めて低い濃度段階(微量)であっても、このACEの働きを効率的に阻害(ブロック)することが判明しています。この分子レベルでのACE阻害活性により、体内における「アンジオテンシンII」の過剰な生成が未然に抑制され、末梢血管がリラックスした状態に保たれることで、血圧の上昇が根底から軽減されます。
総括:血管のしなやかさを維持し、循環器リスクを未然に防ぐために
ヒト臨床試験(RCT)では、アカシア樹皮由来プロアントシアニジンの継続摂取により、4週目から12週目にわたり上の血圧がプラセボ群比で有意に低下し、収縮期血圧が130 mmHg未満かつ拡張期血圧が89 mmHg以下な基準への改善率も高まりました。この血圧低下は、強力な抗酸化作用によるNO(一酸化窒素)の保護・血管拡張と、ACE活性阻害による血管収縮抑制という2つのメカニズムが考えられています。
参考文献
[1].WHO『Global report on hypertension 2025』
[2]. NCD Risk Factor Collaboration (NCD-RisC). “Hypertension”
[3].厚生労働省『令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要』
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001603146.pdf
[4].日本高血圧学会『一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子』
https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019_gen.pdf
[5]. Baba A, et al. Functional Foods in Health and Disease. 2021;11(7):310-332.
[6]. Ikarashi N, et al. International Journal of Molecular Sciences. 2018;19:700.

